
川崎市が発行する「かわさき市政だより」、皆さんはご存知ですか?
8月号を読んでいたら、市の“強み”がずらりと並んでいました。数字やランキングだけでも十分すごいのですが、背景を知ると「なるほど、川崎ってこんなに魅力があるんだ!」と改めて感じましたので、今回はその強みを一つずつご紹介します。
環境とまちづくり
ごみ排出量が最小
川崎市は、令和7年3月に発表された環境省による調査で、4年ぶりに一人一日あたりのごみ排出量が政令指定都市で第1位(最小)となりました(令和2〜4年は2位)。
全国平均851gに対して、川崎市民は730g。月換算すると一人当たり約3.6kg(45Lのゴミ袋1つ分程度)も少ないのだそうです。市民の分別意識の高さに加え、リサイクルやごみ発電など資源循環の仕組みが整っている成果でしょう。
平成2年にごみ排出量が市内のごみ焼却処理能力の限界に迫り、市が「ごみ非常事態」を宣言したこともあったそうですが、それを機にリサイクルを中心とした資源循環型社会の構築を目指して、これまでさまざまな取り組みを進めてきたとのこと。
都市公園数が最多
市域面積当たりの都市公園数が政令指定都市で1位。「工業都市」のイメージが強い川崎ですが、実は街中に緑が多く、徒歩圏内に公園があるのも当たり前。等々力緑地や多摩川といった大自然も身近にあり、暮らしやすさに直結しています。
脱炭素先行地域に選定
これまで、さまざまな環境問題に取り組んできた川崎市が、今度は地球温暖化に立ち向かうべく、令和2年に「かわさきカーボンゼロチャレンジ2050」を策定し、市民・企業が一緒に脱炭素社会の実現を目指して挑戦していることをご存知でしょうか。
川崎臨海部はかつて公害問題の象徴でしたが、いまは脱炭素先行地域としてゼロカーボンの実証フィールドとなっています。
SDGsパートナーが最多
企業や大学、市民団体、そして川崎フロンターレのようなスポーツクラブまで巻き込んだSDGsパートナー数が政令指定都市で最多。日常レベルで「持続可能性」を感じられるまちづくりが進んでいます。
働く環境
離職率が政令指定都市で最小
離職率の低さは雇用の安定度を示しています。
川崎は大企業から中小企業までバランス良く集積し、職住近接で働けることも影響しているのかもしれません。
専門職従事者割合が1位
研究開発拠点や製造業が多い川崎では、専門的・技術的職業に従事する人の割合が政令指定都市で1位。
理系人材の多さはイノベーションを生み出す土壌となり、スタートアップ支援も活発です。
完全失業率が最小
川崎は完全失業率が政令指定都市で最小。
産業が多様で再就職もしやすく、働き口の多さが安心につながります。
製造品出荷額が1位
従業者一人当たりの製造品出荷額も政令指定都市でトップ。
高付加価値のモノづくりが根付き、川崎経済を大きく支えています。

健康と子育て
麻生区が長寿日本一
川崎市麻生区は長寿率が日本一。
緑が多く坂道も多い地形が自然な運動習慣を生み、地域コミュニティのつながりや医療体制も背景にあるのだそうです。
平均年齢が最若
川崎市は平均年齢が政令指定都市で最も若い都市。
若い世代が流入し、武蔵小杉や溝の口などは子育て世代に人気の街になっています。
待機児童ゼロ
共働き世帯にとって大きな安心材料となる待機児童ゼロを実現。
施設整備だけでなく、多様なニーズに応える制度設計も奏功しています。
保育所数が最多
市域面積あたりの保育所・認定こども園施設数が政令指定都市で1位。
都市部でありながら子育て環境の充実度は全国トップクラスです。
学校トイレ様式化率が1位
公立小中学校のトイレ様式化率が政令指定都市で第1位となる93.5%。
細やかな教育環境整備が進んでおり、子どもも保護者も安心して通える学校づくりにつながっています。
市民意識と暮らし
投票率が1位
市長選挙の投票率が政令指定都市で1位。
市民がまちづくりに主体的に関わる文化が根付いています。
治安が良い
刑法犯認知件数の少なさが政令指定都市でトップクラス。
地域のつながりなども、犯罪抑止に役立っていると思います。
住宅の耐震性が高い
昭和55年以前の住宅割合が政令指定都市で最小で、比較的新しい住宅が多いのも特徴。
耐震性や省エネ性能に優れ、災害に強い都市と言えます。
水道管の耐震化率が1位
水道管の耐震適合率も政令指定都市で1位。
首都直下地震が懸念される中、安心のライフライン整備が進んでいます。

スポーツ文化の充実
川崎市には全国トップレベルのクラブが6団体あります。
- 川崎フロンターレ(サッカー)
- 川崎ブレイブサンダース(バスケットボール)
- 富士通レッドウェーブ(女子バスケットボール)
- NECレッドロケッツ川崎(女子バレーボール)
- 富士通フロンティアーズ(アメリカンフットボール)
日常的に一流の試合を観戦できる環境は稀有で、地域の誇りや子どもたちの夢につながっています。
政令指定都市とは?
政令指定都市は、人口50万人以上で国から指定を受けた都市のこと。
行政権限が拡大され、地域の実情に合わせた施策が取りやすいのが特徴です。
現在(2025年)、日本には20の政令指定都市があります。
札幌市 | 北海道最大の都市。雪まつりや観光都市として有名。 |
仙台市 | 東北の中枢都市。学都・杜の都としても知られる。 |
さいたま市 | 首都圏ベッドタウン+大宮を中心に商業集積。 |
千葉市 | 幕張新都心を擁する、国際会議・展示会都市。 |
川崎市 | 工業都市から脱皮し、環境・子育て・スポーツなど多面的な強みを持つ都市。 |
相模原市 | JAXA相模原キャンパスなど宇宙関連拠点あり。 |
横浜市 | 人口370万超、日本最大の政令市。港湾・観光・商業のバランス型。 |
新潟市 | 日本海側最大の都市。農業・港湾物流が強み。 |
静岡市 | お茶・ツナ缶・製紙業など独自の産業が根付く。 |
浜松市 | 楽器・オートバイ産業の集積(ヤマハ・スズキ・ホンダ)。 |
名古屋市 | 中京圏の中心。自動車産業(トヨタ系)が圧倒的。 |
京都市 | 観光・伝統文化・大学都市。 |
大阪市 | 商都・経済の中心。お笑い文化も発信。 |
堺市 | 刃物産業や大仙古墳など歴史資源。 |
神戸市 | 港町・異国情緒。医療産業都市構想。 |
岡山市 | 「晴れの国」温暖な気候。交通結節点(山陽新幹線)。 |
広島市 | 製鉄・化学工業で栄えた産業都市。近年は人口減少が課題。 |
北九州市 | 製鉄・化学工業で栄えた産業都市。近年は人口減少が課題。 |
福岡市 | アジアの玄関口。若い人口構成、スタートアップの拠点。 |
熊本市 | 食文化・地下水資源が豊富。震災復興の経験あり。 |
各都市それぞれに独自の強みがありますが、川崎市は
- 産業集積の厚み(研究所・製造業・スタートアップ)
- 若い人口構成(活気ある都市)
- 子育てや生活インフラの充実度(待機児童ゼロなど)
- 環境先進都市としての変貌
といった点で、他都市にはない多面的なバランスを持っていると言えそうです。

まとめ
こうしてみると、川崎市はただの「工業都市」や「ベッドタウン」ではあく、
- 環境にやさしく
- 産業に強く
- 子育てに手厚く
- スポーツ文化が根付くまち
として、多面的な強みを持つ都市であることがわかります。
「かわさき市政だより」によると川崎市は、古くは東海道五十三次の一つ「川崎宿」として、そして昭和30年代以降は京浜工業地帯の中核として栄え、発展してきたまちであり、その成り立ちゆえに全国各地から集まった人たちが共に暮らし、異なるバックグラウンドから多様な文化が育まれてきたとのこと。
様々なジャンルの強みを進化させてきた「ユニークな多面都市」──これが川崎市の大きな魅力だと思います。